作曲家の松平頼則さんが亡くなったと、きのうの新聞で読みました。
松平頼則さんは少し前にNHKのドキュメンタリー番組で紹介されましたので、それで御存じの方もいらっしゃることと思います。
わたしはなにも個人的に存じ上げてはいないのですが、
むかし、わたしがまだ子どもの頃、松平さんが作曲されたピアノのための「美しい日本」という組曲の楽譜を、楽器店で立ち読みしたことがあります。
そこには、ピアノの楽譜なのに5線が3段組になっていたり、スラー(ひとまとまりで演奏される音群を表す囲い曲線)がまるでSの字みたいにうねっていたり、
とにかく見たことのない譜面がありました。
そのときの印象は強烈で、
いったいそれはどんな音楽なのだろう、と、
子どもながらに思ったのを覚えています。
3段組の5線は、ちなみにグリーグの抒情小曲集の「春に寄す」でも使われています。あとで知りました。
わたしはいわゆる現代音楽もけっこう好んで聴くのですが、
あのときの松平作品の楽譜の視覚的な印象が、わたしの現代音楽への関心につながっているのを感じます。
いま、その楽譜を持っていますが、まだ弾けずにいます。
音を拾い拾いして鳴らすばかりです。
2001年10月30日