ネスカフェの最近のテレビコマーシャルで緒形拳さんと奥田瑛二さんが共演していますが、
バックに流れている曲がオスカル・メリカント Oskar Merikanto の「ゆるやかなワルツ Valse Lente」だったので、うれしくなりました。
舘野泉さんのピアノ演奏でよく知っています。自分でも弾きますが、例によってうまく弾けません。
長崎雲仙普賢岳の噴火が続いていた頃、福岡ではNHKテレビが毎日一晩中電波を切らずに、緊急時の放送に備えて音楽だけを流していました。
当時私は徹夜をすることが多く、よくテレビかテレビ音声が入るラジオをつけっぱなしにして、ながら聞きしていました。
舘野泉さんのフィンランド・ピアノ曲選集のCDがかかる日が時々あり、
その中にメリカントの「ゆるやかなワルツ」が入っていたのでした。
その当時は知らない曲でした。曲目紹介はなく、何のCDかもわからなかったのですが、もともと知っていたシベリウスの曲もあったので、舘野さんの演奏にちがいないと思っていました。
だれの何という曲か知らないまま、耳なじみになりました。
普賢岳の噴火が落ち付き、延長放送がなくなって、その音楽を耳にしなくなってから数年経った頃、CD店でその時のCDを見つけました。
それでようやく曲名を知りました。
全音から出ているメリカントのピアノ曲の楽譜も買いました。
さきごろ、輸入盤を扱っている市内のCD店がバーゲンをやっていて、
オスカル・メリカントのオルガン曲を集めたCDがセールに出ていたので、即座に買いました。
オスカル・メリカントは19世紀のフィンランドの音楽家で、親しみやすい歌を多く作ってフィンランドでよく知られているそうです。
オルガンの演奏家としても有名だったそうです。
CDを聴くと、「ゆるやかなワルツ」のおだやかさとは大きく異った、さすがパイプオルガンと思わせるけんらんたる作品が多いのですが、
それでもメロディーはどこかひとなつっこい感じがして、
ふしぎな魅力があります。
「祈り」と題された短い曲があり、
それは他の曲とちがって、とても静かな曲で、
メリカントのオルガン曲の中で最も有名な曲だということです。
CDのジャケットには、月空の下に立つ、麦わら帽をかぶった、体格が横に大きい、それこそ人が良さそうな風情のメリカントおじさんが写っています。
この1月はいくらか、メリカントのこのCDのおかげで幸せにしてもらったような気もします。
「ゆるやかなワルツ」、ぜひテレビで聞いてみてください。
2003年2月8日